低い日本の幸福度
ひと昔前に、ブータンというアジアの小国が世界一幸せな国として取り上げられ話題になりました。これは、毎年発表されている世界幸福度ランキング(World Hapiness Report)で欧米と並び位にランクインしたことから注目されました。この世界幸福度ランキングで2021年にはどのあたりの国が上位に入っているかというと、次のような顔ぶれです。
1位 フィンランド
2位 デンマーク
3位 スイス
4位 アイスランド
5位 オランダ
6位 ノルウェー
7位 スウェーデン
8位 ルクセンブルク
9位 ニュージーランド
10位 オーストリア
ジェンダーギャップ指数のランキング2021で上位5位の国(1位アイスランド、2位フィンランド、3位ノルウェー、4位ニュージーランド、5位スウェーデン)はこちらでも上位にランクインしていることがわかります。
幸福度とは、主観的な幸福度に加えて、1人当たり国内総生産(GDP)、社会保障制度などのソーシャルサポート、健康寿命、人生の選択の自由度、他者への寛容さ、国への信頼度を加味して評価されています。
ちなみに日本はというと、149カ国中56位と、ジェンダーギャップ指数ランキングの120位と比較すれば上位にいますが、褒められた順位ではありません。上位国と比較をしてみると、GDPと健康寿命(平均寿命ではない!)では劣りませんが、ソーシャルサポートで少し下がり、人生の自由度で下がり、他者への寛容さと国への信頼度の部分で下げています(図①)。
自分で決めることと幸福の関係
そもそも幸福とは何でしょうか。お金があったら幸福?いい大学に行けたら幸福?お金は1つの要素ではありますが、経済的に豊かになっても幸福度が必ずしも高くないということが指摘されてきました。その背景には、時間がたつと人は慣れて幸福感を感じにくくなることがあげられます。
他には、経済的な豊かさに加えて、対人関係、経済的な自由度なども言われていますが、先述の調査にもあった「人生の選択の自由度」に注目してみましょう。
もともと自分で決めることが幸福感に重要であると言われてきており、日本における調査も行われています。主観的な幸福感に影響する要因を検討していくと、学籍や世帯年収よりも自己決定にかかわる指数が大きく影響しています。自分で人生の選択をすることで選択する行動への動機づけが高まり、そして満足度も高まるのでしょう。そして幸福感にもつながるといった調査結果です(図②)。
日本においても自分で決めることが幸福に大きく影響することが実証されていますが、日本における人生の選択の自由度はまだまだ高くありません。そこには固定的な性役割への意識も関係しているのではないでしょうか。
個人的な経験にはなりますが、大学受験、就職にしてもなんとなく自分の学力と興味と世間の常識からだいぶ絞った状態から選んでしまいました。大学を受験しない、とか、留学するとか、会社に就職しないでワーキングホリデーにいくとか、簡単に思いつく選択肢ですら当時は机上にのっていませんでした。本当の意味で自分で決めることに慣れてない人は多いかもしれません。
こちらの内容は下記の本の中にも書かれています。ぜひお手元にとってみてください。
(文章:北 奈央子)
コメント