更年期に取り入れたい漢方薬(入門編)

「更年期の不調に、漢方という選択肢を増やしてみませんか。」
更年期の不調というと、病院でのホルモン補充療法を思い浮かべる方が多く、実際に漢方薬を試したことがある方は、意外と少ないかもしれません。
今回の勉強会では、そんな更年期の不調と漢方薬の関係について、わかりやすく教えていただきました。

▼濱田悠さんの紹介

講師は、神奈川県の藤沢で漢方専門の薬店「漢方いろどり」を営む濱田悠さん。
新卒では医療とは縁のない仕事に就いていたものの、23歳のころに心身の不調をきっかけに漢方薬局の扉をたたいたことが、この道に進む原点になったそうです。ご自身が漢方薬で回復した経験から、今は主に婦人科領域、なかでも女性ホルモンが大きく変動する妊娠・出産・更年期の相談を数多く受けていらっしゃいます。

「自覚症状」を大切にする、中医学という視点

私たちが治療というと真っ先に思い浮かべるのは、検査数値や画像診断をもとに診断名がつく西洋医学です。一方、濱田先生が専門とする中医学は、何千年もの間、人の体を観察し続けてきた経験の積み重ねによって体系化された学問。検査で異常が出なくても、本人が「つらい」と感じていれば、それを大切な情報として受け止める。数値ではなく、体全体・体質を見るというのが、中医学ならではの視点なのだそうです。

なんと2000年前の中国最古の医学書には、すでに「女性は七の倍数で変化する」という記述があるとのこと。七の七倍、49歳ごろに体が変化し閉経を迎えるという内容は、驚くほど現代の更年期の捉え方と重なります。人の体は、時代が変わってもそう大きくは変わっていないのかもしれません。

そして更年期の症状というと、ほてりやのぼせが代表格に思われがちですが、実はそれ以上に多く聞かれるのが「疲れやすい」という訴えなのだそうです。ただし、更年期の疲れは一般的な疲労とはレベルが異なるもの。改善が見られない場合は、甲状腺機能低下症など器質的な疾患が隠れている可能性もあるため、「年のせい」と片づけず、まずはきちんと検査を受けることも大切だといいます。

体質に合わせて選ぶ、という発想

漢方薬に対して、「気休め」「プラセボみたいなもの」というイメージを持つ方も少なくありません。ですが濱田先生いわく、漢方薬が効かないと感じるとき、多くは薬そのものが悪いのではなく、自分の体質に合っていないだけなのだそうです。冷えている人には温める漢方薬を、ほてりのある人には熱を冷ます漢方薬を。当たり前のようでいて、実際には逆の性質の漢方薬を選んでしまっているケースも少なくないといいます。

印象的だったのが、更年期のほてりを「お鍋の空焚き」にたとえたお話です。水も入れずに火にかけたお鍋がどんどん高温になっていくように、体を潤す力が不足すると、相対的に熱がこもりやすくなる。これが更年期の熱症状の正体なのだそうです。同じ「熱を冷ます」漢方薬でも、余分な熱だけを取るものと、潤いそのものを補うものとでは働きが異なるため、今飲んでいる漢方薬でなかなか症状が変わらないときは、そもそも自分の体に必要なアプローチとズレている可能性もあるといいます。

勉強会では、更年期でよく使われる代表的な漢方薬として、加味逍遙散・桂枝茯苓丸・当帰芍薬散、そして亀の甲羅やすっぽんの甲羅などの動物性生薬が紹介されました。同じ「更年期の漢方薬」として知られるものでも、それぞれ得意とする体質や症状はまったく異なります。市販薬のパッケージに書かれたキーワードだけで選ぶのではなく、「今の自分にはどれが合っているのか」を見極める視点を持つことが大切だと感じました。

「選択肢を増やす」ということ

勉強会を通して感じたのは、更年期のケアに「これさえ飲めば大丈夫」という一つの正解はないということでした。西洋医学のホルモン補充療法か、東洋医学の漢方薬か。どちらか一方を選ぶのではなく、両方の選択肢があることを知った上で、自分に合う方法を選んでいく。そして漢方薬を選ぶときも、体質や症状の程度に合わせて、じっくり見極めていくことが欠かせません。

「つらいのは更年期だから仕方ない」で片づけてしまう前に、自分の体が今どんな状態にあるのかを丁寧に見つめてみること。そのうえで、お近くの漢方薬局や専門家に相談してみることも、更年期を心地よく過ごすための一歩になりそうです。

勉強会の動画はこちらからご覧いただけます。

また、ジョコネ。が運営する女性の健康を支える専門家紹介サイト「ジョコサポ」には、濱田悠さんの紹介ページもあります。ぜひチェックしてみてください。

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