不調の影響を小さくするためにー女性ホルモンによる不調を改善するために取り入れたい薬やセルフケア

ご自身で色々試して工夫をしてみよう

これまでのコラムで仕事に影響しやすい女性の健康課題についてご紹介してきました。
今回のコラムでは改善方法についてみていきましょう。

女性ホルモンの不調には、薬、セルフケアと選択肢があり、どれが合っているかは人によって異なります。代表的な薬に関してはこちらで紹介していきますので参考にしながらご自身で色々試してみてください。
生活を整えることでも改善することがあります。小さな変化かもしれませんが、ご自身の中の変化を見逃さず不調に効くご自身のレシピをみつけましょう。調子の悪い時は、カフェインなどの刺激物を避ける、甘いものを避けて急激な血糖値の上昇を避ける、睡眠をしっかりとる、鍼灸に行って血流をよくする、軽い運動をする、アロマを使ってリラックスするなどもよいです。

周囲に相談する

ご自身で工夫しても限界がある場合は、1人で我慢せずに周囲に相談してください。友人に相談して友人の工夫を聞いてもいいですし、婦人科に行って専門家から情報をもらってもいいと思います。
また、不調の時にはストレスを減らすために可能であれば仕事の山場を外す、在宅勤務を選択するなども有効です。もちろん職場によってそれができる場合とできない場合があるので、職場の上司や先輩に仕事の調整のことで相談するのも良いでしょう。
月経や更年期など、公に話しにくい印象がありますが、一人で我慢してしまうとそこから状況が変わりません まるで是非 勇気を出して相談してみてください。

選択肢に取り入れたい薬剤

女性ホルモンの不調に選択肢に入れたい 薬
月経や更年期など女性ホルモンの不調の際に病院で代表的に処方される薬を紹介いたします。大きく分けて、女性ホルモンを含む月経のある時期に使う低用量ピルとIUS、女性ホルモンが減ってきてから使うHRTの薬剤、そして女性ホルモンは含んでいませんが漢方もよく使われます。

低用量ピル(LEP)

女性ホルモンである卵胞ホルモンと黄体ホルモンを含む飲み薬です。排卵を抑制し、子宮内膜の増殖抑制作用があるので、避妊、月経痛、過多月経( 生理の経血量が多いこと)、PMS、ニキビの症状改善に使われます。1日1錠決まった時間に飲むことで、体内の女性ホルモン量を安定させます。休薬期間があり(薬によって日数が異なる)、その期間に多少の出血をすることがありますが、この休薬期間は自分で決められるので仕事やプライベートが大変ではない日にすることができます。病院で処方をしてもらう薬なので、受診が必要です。薬なので副作用があり、血栓症のリスクが若干上がります。したがって同じく血栓症のリスクファクターであるタバコを吸っている場合はピルが飲めないことがあります。
飲み始めは気持ち悪くなったり、頭痛がおきたりしますが、しばらくすると収まると言われています。低用量ピルも開発された時期によって異なる世代があり、そして種類もいろいろありますのでしばらくしても収まらない場合は医師に相談して違う種類を処方してもらうのも手です(参考 産婦人科診療ガイドライン 産婦人科外来編2020)。

ピルの大変なところは、毎日飲まないといけないこと、そして3ヶ月に1度くらい処方してもらうために受診しないといけないことです。でも、出張や仕事の大変な時に月経が重なったりして大変な場合、子育てと仕事で月経痛やPMSとお付き合いしていられない場合などはぜひ検討の選択肢に入れていただければと思います。最近はオンラインで相談して郵送でピルが届くサービスも出てきましたので、そういったものもあること知っておくといいですね。

IUS(子宮内黄体ホルモン放出システム)

子宮内に小さなプラスチックなどでできたデバイスを置いておきます。(図①)商品名で「ミレーナ」という名前があるので、そちらで聞くことも多いです。デバイスから黄体ホルモンが放出されるので、子宮内膜を厚くしません。
IUSの楽な点は、一度留置すれば5年間程度そのままでいいので、ピルのように毎日飲んだり、処方してもらいに行く必要がないところです。
ただ、日本では小さいサイズが使えないので出産経験のない方は使いにくい場合があります。子宮の中にずっと置いておくということで、違和感が心配かもしれませんが、日常的には私はほとんど感じませんでした。

ホルモン補充療法(HRT)

減少する女性ホルモンを外から補う方法です。女性ホルモンが減少してから使います。
更年期症状の緩和や女性ホルモンのお守り効果を少し伸ばすため骨粗しょう症や高脂血症の予防にも有効と言われています(NPO法人更年期と加齢のヘルスケア)。
こちらも病院で処方してもらいます。

漢方

女性ホルモンの不調には漢方がよく効くと言われています。
代表的に図②のような漢方が使われますが、漢方は症状に加えて「証」と呼ばれる体質も参考にして使う薬が決まります。薬局で手軽に市販薬を購入するのも良いですが、漢方も得意な婦人科や漢方内科などで処方してもらう、もしくは漢方薬局で処方・調合してもらうのも良いと思います。

なお、自身のIUS、ピルの使用経験についてもこちらのコラムでご紹介しております。
IUSからピルへ
ぜひ参考にしてみてください。

これまでのコラムでもお示しした通り女性は働いている間を通して何らかの健康課題を抱えています。 全ての人が自分のバランスで仕事に取り組み、そして自分が望む キャリアを積める社会を作っていきましょう。

こちらの内容は下記の本の中にも書かれています。ぜひお手元にとってみてください。

(文章:北 奈央子)

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