Health Europe 2025参加報告 ~Women’s Health、フェムテック視点満載!

ジョコネ。は、J-starX Healthtech Gatewayに採択をしてもらい、その一環で2025年6月16日~19日にオランダのアムステルダムで開催されたHealth Europe 2025に代表の北が参加をしてきました。北の視点でみた、つまりWomen’s Healthの視点満載のレポートをお届けします。

ヨーロッパ中、そして世界中のヘルスケアな人々と出会える巨大カンファレンス

私自身、もともと医療機器の会社で働いていて海外のカンファレンスに何度も参加していましたし、海外のwomen’s healthのカンファレンスにも何度か参加をしていたのですが、Health Europeはとにかく巨大でした。ヘルスケアのイノベーションのイベントとしてはヨーロッパで最大ということで、ヘルスケアのスタートアップ、投資家、また医療系の専門家や製薬企業、行政の関係者など本当にいろんな人が参加していました。

 

そして、アプリがすばらしい。参加者の一覧が見れて、アプリ内で面談の予約がいれられます。そのためのテーブルも用意されていて、〇番のテーブルで△時からあなたとお話ししたいです、と送って相手が承諾してくれれば成立!私もフェムテック領域で活動していそうな方何人かに送り、お話ができました。イギリスの助産師さんや、アメリカでZ世代視点のフェムテックの活動をしている方、更年期の活動をしている方、など、皆さんオープンで、ちょっと話して、Linked Inの交換をしてこれから一緒にwomen’s healthを盛り上げていきましょうとなります。

*海外では今フェムテックがあまり使われず、women’s healthが使われています

コンサル会社がリードするWomen’s Healthのプレゼンス

今回、驚いたのは、展示エリアにある大きなWomen’s Healthのブース。濃いピンクの大きなパネルが目立ちました。最初Health Europeが企画しているのかなと思いながら、ブースにいた方に話をきいてみたところ、大手コンサル会社のKEARNEY社(日本ではA.T.カーニー)がスポンサーをしてその場所を作っているとのことでした。KEARNEY社では、[w]Healthという名前でwomen’s healthのイニシアチブを今展開しているそうです。昨年アメリカのカンファレンスに出た時には、McKinseyの存在感が大きくて驚きましたが、最近こうした大手コンサル会社が競ってwomen’s health領域の取り組みをしているようですよ。


ブースでは、「How do we accelerate investment in women’s health?(どうやって女性の健康への投資を加速できますか?)」という質問が書いてあって、おのおのポストイットにコメントを書いて貼れるようになっていたり、そのまわりにwomen’s healthのブースがいくつかならんでいました。

そしてそのブースの裏のセッション会場では、2日間のメイン期間のうちの1日を終日使って、women’s healthのセッションがずっと繰り広げられていました。Women’s Healthの領域で活躍する方々がパネリストとして壇上に座り、いろいろなトピックについて議論されていました。その中で大きく取り上げられていたのはMcKinseyとWorld Economic Forumが昨年出したレポートの内容です。女性の健康負荷のギャップを埋めることで、1兆ドル(約150兆円!)もの経済効果があるというものです。このレポートの中でも女性特有の健康課題によるものはその中の5%に過ぎないということは大きく論じられているのですが、つまり男女共通の部分で社会構造的に女性に健康負荷がおきているということがいえます。そこをどう変えていくかという議論が大きかったです。中でもトピックとして取り上げられていたのは、心臓病(欧米では女性の死因第1位)、更年期、また研究にどう性差の視点をいれていくか、またこの領域でどうやってユニコーン(企業評価額が10億ドル以上のスタートアップ)を出すかという議論がされていました。アメリカではいくつかwomen’s healthのユニコーンがでてきており、ヨーロッパもそれに続いていこう!と盛り上がっていました。そしてそれを聞いていた私は、アジア、日本も続いていきたいと強く思いました!

今回出会ったフェムテックのスタートアップ

ヘルスケアのカンファレンスなので、ブースを構えているフェムテックのスタートアップはごく一部でしたが、その中でいくつかご紹介します。
Impli
今回一番すごい!と思った技術でした。イギリスのスタートアップで、本当に小さいチップを二の腕にインプラントをしておくことで、女性ホルモンの値を持続的に測定できるというものです。本当に小さい。チョコボールと比較した写真でその小ささがわかると思います。月経も更年期も不妊治療も女性ホルモンが関係しています。この小さなチップで持続的に測定ができれば、今わかっていないことがたくさんわかると思います。自分がいつどういう不調になるのか、その最善の解決策は何なのか、こういったことがわかると女性がもっと自分らしく生活できるようになると思っています。また、通院回数が多い不妊治療にも大きなサポートになると思います。

Menotracker
オーストリアのスタートアップです。更年期向けのアプリで、もう英語とドイツ語では上市されているとのこと。自分の調子を記録したり、薬・月経、また睡眠など更年期の女性が記録しておいた方がいいものが記録できるアプリになっています。更年期の不調は自分でも自覚しにくかったり、複数の不調がでて大変な方も多いですが、こういったアプリで記録を取っていくことで自分でも整理ができて良さそうだなと思いました。日本語も今作っているそうで、近いうちに日本でもお披露目があるかもしれません。

Calla Lily Clinical Care
こちらもイギリスのスタートアップです。こちらは、なるほど!と思った技術です。膣経由で薬を投与するというものです。フェムテックの領域でよく聞くのは、デリケートゾーンは吸収率が他の部位に比べて高いからソープや保湿剤の成分に気を付けましょうねということですが、まさにこの吸収率の高さを利用した方法なんだなと思いました。タンポンのようなものを膣にいれて、より効果的な方法で薬を届けることができるようになるかもしれません。最初は不妊治療での利用を目指して開発を進めているとのことでした。

おまけ:アムステルダムのワークライフバランスと薬局事情

6月のオランダは日が長く、夜10時頃まで明るくて、地元の方々が平日の夕方でも家族や友人と一緒にリラックスしてディナーを楽しんでいる様子がとても印象的でした。カンファレンスで仲良くなった女性がいるのですが、彼女はドイツ出身で、今はオーストリアに住んで働いているとのこと。その理由は、ドイツは仕事が忙しすぎて物価も高い、オーストリアは物価が少し安くて、ワークライフバランスがとれるとのことでした。アムステルダムの様子をみてオランダもきっとワークライフバランスがとりやすい土地なのかなと思いました。
そして、最近趣味になりつつある、各国の薬局リサーチ。今回も薬局でどんなフェムテック商品が売られているか見てきました笑 アメリカほどはなかったですが、基本的なナプキン、タンポンに加え、デリケートゾーンのケア商品や月経カップなども棚に並んでいました。印象的だったのはTバッグ用の細いナプキンでしょうか。また、別の棚になりますが、アロマやCBD(カンナビジオール)の選択肢は充実していました。さすがヨーロッパ、そしてオランダとおもったのでした。

 

 

 

最後に・・・ロッテルダムのErasmus MCにはWomen’s Health Research & Innovation Centerができたとのことでした。Erasmus MCは、医療機関ですが、スタートアップ向けのインキュベーション施設も併設されています。つまりwomen’s healthの理解のある環境でwomen’s healthのスタートアップが育つことができるんだなと思い、私はとても感動し、いつかヨーロッパに進出できることになったらここに入りたいと思いました。

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