家事や育児、介護などをこなしながら、毎日仕事に立ち向かう女性たち。
月経がくることで、そのパフォーマンスが落ちてしまう……といった経験はありませんか?
そんな重たい月経のときに、ぜひ使いたい生理休暇。
聞いたことはあるけれど、実際に取得したことはない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回のコラムでは、生理休暇の現状や、抱える課題などを考えていきたいと思います。
生理休暇とは?
生理休暇は、女性が月経期間中に休暇を取得できる制度のことを指します。
昭和22年に労働基準法に、以下のように定められました。
(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)
第六十八条 使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日 に就業させてはならない。
(厚生労働省/「働く女性と生理休暇について」/https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001150877.pdf /2024.06.06)
生理痛やその他の月経に関連する症状が重い女性にとって、重要なサポートとなる生理休暇。
しかし、世界的には生理休暇を導入している国はまだ少数派であり、普及には多くの課題が残っています。
生理休暇の必要性と課題
生理痛やPMS(月経前症候群)、PMDD(月経前不快気分障害)などの症状は、日常生活や仕事に大きな影響を与えることがあります。
症状が重い場合は休暇を取ることで心とからだの負担を軽減し、早期回復を促進します。
疲労や痛みを抱えたまま働くよりも、休暇を取って回復した後に集中して働く方が、業務効率も高まる気がしますよね!
しかし残念なことに「生理休暇は特別扱いだ」と言われることも、まだまだ多くあります。
令和2年度の厚生労働省の調査によると、生理休暇を取得している人の割合は、0.9%でした。
そのため生理休暇を導入する・導入している企業は、従業員が安心して休暇を取得できるよう、サポート体制を整える必要があります。
企業や社会全体が、月経に対する理解を深め、偏見をなくすことが重要なのです。
F休暇って、なに?
この取り組みの一つとして近年注目されているのが「F(エフ)休暇」です。
F休暇とは、Femaleの頭文字であるFをとった、女性のための休暇のこと。
株式会社サイバーエージェントさんでは、以下のような背景からF休暇を制定しました。
2014年当時、会社としてきちんと女性の活躍を後押しする制度を作ろう、というところから女性活躍推進制度の設計を開始しました。
その制度設計の際、女性の休暇に関して、「生理休暇を取りたい」と上司や同僚に伝えることや、女性特有の体調不良や治療・通院で休みたくてもそれを言い出しにくい、という問題点があることに気が付きました。
そこでそれらの「言い出しにくさ」の解決策として、生理休暇、そのほかの女性特有の体調不良や治療・通院のための休暇、そして普通の有給休暇も含め、女性社員が申請する休暇については、休暇の種類を問わずすべて「エフ休」(エフ=Femaleの頭文字)という名称としました。
(参照:厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト」/特集 働く女性と生理休暇/https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/special_cyberagent.html /20240617)
さらに最近では、F休暇を取り入れて月経やPMSの辛い症状のときに休暇をとりやすくするだけでなく、介護や子どもの看病でも休暇が取りやすいように新たな休暇を制定するといった取り組みをする企業も増えています。
取得できる休暇や利用できる会社の制度の情報を、自分自身でリサーチし、積極的に利用していく。
これも、自分の心とからだの健康を守るためには必要なことかもしれません。
つらいときは、しっかり休息を!
女性たちが安心して働ける環境づくりは、結果として企業全体の業務効率や、性別を問わずすべての従業員の労働環境の向上に繋がるのではないでしょうか。
生理休暇は、女性の健康と職場環境の改善にとって重要な制度です。
そして、しっかりその権利を使い、休息を取ることも重要です。
使える権利をしっかりと使い、あなたのワークライフバランスを高めていきましょう!
(文:下田 春佳)
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