「ジョコネ。が月経用ナプキンの無償提供装置の設置を推進する理由」

ジョコネ。が令和6年度の経済産業省によるフェムテック等サポートサービス実証事業で実施した「職場への月経用ナプキンの無償提供装置を活用した女性のヘルスリテラシーの向上施策」について報告書を提出しました。ジョコネ。が、実現していきたいことを改めてお伝えします。(参照:成果報告

ジョコネ。の月経用ナプキンの無償提供事業とは?

令和4年3月に厚生労働省から報告書(参照:『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査)が出され、生理用品の入手に苦労している方が日本にも多く存在していることが、社会問題化されました。それに伴い、政府、自治体による公立学校や役所での配布や企業や市民団体による寄付等の動きが広がっています。
トイレに行けば当たり前にトイレットペーパーが利用できるように、月経用ナプキンがトイレにあれば、生理になったときに、いつでも利用できます。急な月経やどうしても生理用品を取りに行けない状況のときなど、気兼ねなく利用できることで、安心して社会の中で活躍できる環境を整えることができます。
月経用ナプキンの無償提供に関しては、様々な意見が交わされ、話題になってます。ジョコネ。が実施している月経用ナプキンの無償提供事業について知っていただくことで、女性がイキイキと活躍できる社会を実現するための1つの選択肢として検討していただけることを望んでいます。

月経用ナプキンと共に健康情報も届ける

ジョコネ。が目指すのは「女性のヘルスリテラシーを高めることで、女性がイキイキと働き続ける社会をつくることこと」です。月経用ナプキンを無償提供することを「女性のヘルスリテラシーを高める機会」と捉え、自分の身体を知り、健康に関心を持つことで、女性たちが自分らしく生きることに貢献したいと思っています。
本事業では、月経用ナプキンを無償配布するときに、月経・更年期に関する情報を届けることで、今まであまり自分の健康にそんなに関心を持っていなかった女性たちの月経と更年期への意識が変わっていくことを目的としています。「私は月経がひどいタイプだから迷惑をかけてしまう」「痛み止めを飲んで我慢しなきゃ」「ホルモンバランスは年齢のせいで乱れるけど、仕方ない」ではなく、月経や更年期の症状に対する正しい知識を持つことで、適切な行動がとれ、女性が健康課題を持ちながらも、仕事とうまく両立していけるようになります。その結果、女性のパフォーマンスも向上し、よりイキイキと生きられる社会を実現に貢献することにつながると考えています。女性だけの問題ではなく、職場にとっても女性の健康問題から損なわれる経済的損失を軽減することにつながります。

ジョコネ。が提供する月経用ナプキン無償配布装置とは?

女性用トイレに写真の月経用ナプキン無償配布装置の設置します。
本装置の利用手順は以下の通りです。

①QRコードをスキャンし、月経用ナプキン取得用のコードをとって入力する
②月経用ナプキン取得時に簡単な女性の健康に関する動画の視聴をする
③月経用ナプキンを受け取り、使用する

この月経用ナプキンを取得するときに見ていただく動画は、産婦人科医監修のもと作成された30秒ほどのアニメーション動画です。
この動画は広告ではなく、女性が健康に関する正しい知識や行動が取れるように作られたものです。

ジョコネ。の配布装置の3つの特徴

本当は導入したいが、うまくいかない」という企業や自治体もあります。その課題に対応した装置を開発しました。
課題1 電源が準備できない
消費電力を小さくし、乾電池で動くことができるので、トイレの個室内など、電源が確保しにくい場所でも導入できます。
課題2 広告の表示があることで使えない
ジョコネ。の装置では、広告ではなく、健康情報を届けることになっているので、自治体などでも利用しやすくなっています。
課題3 導入コストが高い
シンプルな構造とすることで、装置自体のコストを下げました。

また、QRコードで個人を識別するため、一人が大量に月経用ナプキンを取得することは難しく、一人1枚の利用となるように設計されています。
そのため、必要な人が必要な時に生理用ナプキンにアクセスすることができます。

今回の事業から見えてきたこと

働く女性たちが生理用ナプキンで困っていること

働いた経験のある女性なら、一度は以下の状況は経験したことがあると思います。
「トイレに行ったら生理になっていたから、生理用品を取りにまた戻らなきゃいけないけど、周りの目が気になる」
「予定外に生理が来てしまったため、生理用品を持っていないけど、近くに薬局やコンビニもなくて買いに行けない。」
「長時間の会議でずっと座りっぱなしのため、生理中は辛い。」
定期的に生理が来る人もいれば、不定期に生理が来る人もいます。定期的に生理が来る人でも、体調によってずれてしまうこと、急に経血量が増えてしまうことなど、多くの女性が経験されているでしょう。女性たちの働く環境は様々です。生理用品をすぐに取りに行ける場合もあれば、そうでない場合も多々あります。また、常に生理用品を持ち歩いているわけではないので、急にトイレで生理になっているときや想定外の経血量に、「あ、今持ってないけど、どうしよう」と一人トイレの個室で慌ててしまうことは誰しも経験したことがあるのではないでしょうか。今回の実証事業は企業で実施しましたが、学校など思春期の女性たちは、より精神的に負担を感じやすいはずです。

利用した女性のヘルスリテラシーが高まった

無償配布を利用した人は114名で、そのうち前後比較が可能であった26名に対して分析を行いました。
その結果、生理が一番つらい日の仕事のパフォーマンスが上がったと答えた女性はおよそ半数となりました。また動画視聴をした女性が、情報検索をするといった行動にもつながっていたことがわかりました。
女性のヘルスリテラシーも少し向上していることがわかりました。特には月経セルフケアと女性の健康情報を選択すること、また実践することに関して上昇した人が半数いました。
今回は2か月間という短い期間の実証でしたが、所属している女性の2割弱に利用され、「忘れたとき」「急に必要になったとき」に利用されていたことがわかりました。
動画の視聴が必ずしも行われているわけではなく、今後改善の必要があります。女性のヘルスリテラシーや仕事のパフォーマンスが向上している結果が見られましたが、参加人数が少なかったため、さらなる検証が必要と考えられます。

実証事業に参加した企業側の声

実証事業に参加した企業様からは前向きなお声をいただきました。
また、実証事業に参加したことが、気づきにつながったという声もありました。

「実証協力の案内をしたら、他の事業所からも希望があった。むしろ不便な土地はニーズが高いことが分かった。」
「月経が不定期になる更年期世代からはポジティブなフィードバックをもらった。」
「取り組みを行うことで、会社が女性の健康支援を考えていることが女性従業員に伝わり、 喜ばれた。」

シンプルな構造としたことで、電池交換の必要性以外は大きいなトラブルもなく、経過していることがわかりました。

月経用ナプキンの無償提供に取り組む意義

月経用ナプキンを無償配布することで、女性が自分の健康について知るきっかけを得ることができ、行動が変わることで、自分らしく、よりイキイキとした生活に結びつく可能性があります。
装置を設置すること自体も社内で男性含めて前向きに捉えられており、企業としても女性の健康支援をしていることを示す形としては、ひとつの選択肢となる可能性が示されました。
ジョコネ。では、女性が自分の身体に関心を持ち、自分をありのまま受け止め、大切にすることで、より健康にイキイキと働ける社会を実現することに貢献していきます。

(文 あいざわあきこ)

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