早期発見で治るように
女性は働いている間に大きな病気になる可能性があります。
代表的には、20代後半〜40代前半の働き盛りを襲う子宮頸がんと、40代からの仕事の責任を任される世代を襲う乳がんです。
どちらのがんも残念ながら罹患数は増えています。
乳がんは女性にとってもっとも罹患数の多いがんで、今8人~9人に1人の女性が一生のうちに乳がんにかかるといわれています。でも乳がんで亡くなる方の人数は5位になります。(図①)(がん情報サービス 最新がん統計2021年1月参照)
これはなぜかというと、乳がんになっても亡くならない方が増えてきた、つまり治るようになってきたからです。
例えば、ステージⅠで乳がんが見つかった場合は、5年生存率100%と言われています。(図②)早く見つけることができれば、その後も生き続けられる、つまりは働ける、働く必要があるということになります。
がんの治療をしながら働いている女性は21万人
知人の女性と話していても、「私、実は乳がんに昔かかったことがあって…」と聞くこと が実は珍しくありません。もちろん初対面でそんな話はしないので、お仕事関係の方、勉強会仲間、ご飯を食べに行く 友人、アクティブに活動している方たちで、まったく知らずにお付き合いしていて、何かのタイミングでカミングアウトしてくれます。
もちろん当時はとてもとても苦しんで大変だったと思います。でも今はとてもキラキラと活躍されている方が多くいます。
ここで 声を大きくして言いたいのは、もし乳がんや子宮頸がんと診断されても、勢い余って仕事を辞めないでいただきたいということです。
治療は一時的に大変かもしれませんが、治ってまた長く生きるとしたら、ここまで築いてきたキャリアをそのまま続けていけるのです。実際、がんの治療をしながら働いている女性は21万人いますし、今後もまた増えていくでしょう。(図③)
働き続けるために大切なこと
がんの治療をしながら働き続けている人が増えているとはいえ、辞めてしまう方もまだまだいらっしゃいます。3分の1の方はがんになったことで仕事を辞めてしまったという調査結果もあります。今、2人に1人ががんに罹り、がん患者の3分の1が仕事をしている年齢の方だといいます。 仕事を継続できる要因として、「職場の体制・環境 」がもっとも大きいと言われています。
職場の上司、同僚 そして人事の方からの配慮、そして職場の制度が重要です。 周囲に配慮してもらうためには、がんにかかり、治療しているということをオープンに話せることが一歩目となります。
これまでのコラムでもお示しした通り女性は働いている間を通して何らかの健康課題を抱えています。 全ての人が自分のバランスで仕事に取り組み、そして自分が望む キャリアを積める社会を作っていきましょう。
こちらの内容は下記の本の中にも書かれています。ぜひお手元にとってみてください。
(文章:北 奈央子)
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